長岳寺の文化財

●長岳寺は千百八十余年の歴史の中で幾多の栄枯盛衰を重ねてきましたが、今なお残されている文化財も多く、国指定重要文化財では建造物4棟、仏像5体、 奈良県指定文化財では建造物1棟、工芸品2品があります。その他未指定でも多くの文化財を有し、特に狩野山楽筆の大地獄絵図は圧巻です。この地獄絵は毎年10月23日から11月30日まで本堂にて開帳され、住職の現代風絵解き「閻魔の嘆き」も行われます。また12,000坪の境内には鎌倉期、南北朝等の石仏も多くみられます。 

阿弥陀三尊 

重要文化財  仁平元年(1151年)

中尊の阿弥陀如来及び両脇侍の観世音菩薩、勢至菩薩の三尊は当寺の本尊です。

阿弥陀如来は西方のかなた十万億土に極楽世界をひらき、末法の世に生まれた私達もお救い下さる仏様です。

当寺の阿弥陀如来は上品上生の定印を結んでいます。また脇侍の観世音菩薩は阿弥陀如来の慈悲の分身であり、勢至菩薩は知恵の分身です。脇侍のそれぞれが半伽椅座像であるのもめずらしいです。

堂々とした量感、美しく写実的な表現は藤原時代にあって次の鎌倉時代作風の先駆けと言え、運慶・快慶などの慶派に大きな影響を与えました。玉眼を用いた仏像としては日本最古のものです。

体内に仁平元年作の墨書銘があり、藤原時代から鎌倉時代に移る仏像史の重要な物差しの目盛りとなる仏像です。 

多聞天・増長天

重要文化財 藤原時代

多聞天・増長天は共に元々、インドでは仏教以外の外道の神々でしたが、仏教に帰依し、仏教を守る守護神としての役割をはたしておられます。

800年を経た現在も色彩がよく残っています。  写真は多聞天。


弥勒大石棺仏

鎌倉時代

弥勒菩薩は今、都卒天で成道をめざして修行されており、五十六億七千万年後に如来となられ私達の世界に下生されます。そして輪廻転生する私達の魂を救済されると云います。

当寺の大石棺佛は古墳の石材を利用したもので、法量は2メートル近い如来形です。その他、当寺には鎌倉時代から江戸時代にかけての石仏が数多くあります。 


本堂

天明三年(1783年)

当寺の本尊である阿弥陀三尊や多聞天、増長天等の仏像や、寺宝類を安置しています。 本堂前の広い庭は浄土式庭園になっており、四季折々の花が美しく咲きほこり ます。 


鐘楼門

重要文化財 平安時代

日本最古の鐘門であり、弘法大師当寺創建当初の唯一の建物です。

上層に鐘を吊った遺構があるので鐘楼門 といいます。

この門をくぐると、本堂、放生池にでます。 


旧地蔵院

大和十三仏霊場第四番 

重要文化財 寛永七年(1630年)

当山四十八ヶ坊あった塔中の内、唯一残ったもので今は庫裏としてつかわれています。建物は室町時代の書院造りの様式を残しています。また同時代の美しい庭園があります。 また、持仏堂には白い像に乗った普賢延命菩薩様がおられます。こちらが大和十三仏霊場になっております。

白い像に乗った

普賢延命菩薩

旧地蔵院の御本尊

(大和十三仏霊場第4番)


五智堂

重要文化財 鎌倉時代

当寺西方約1km の飛び地境内にあり、その形から傘堂あるいは眞面堂とも呼ばれます。

真ん中に太い心柱がありこれによって建物のほとんどの重量が支えられています。

心柱上部に四佛の梵字額があり全体で五智如来をあらわしています。


県指定文化財

本堂内の大壇 江戸時代 天明3年(1783年)

刺繡阿弥陀如来来迎図 南北朝時代

大師堂 江戸時代 正保2年(1645年)


極楽地獄図

江戸時代初期

長岳寺の有名な極楽地獄絵です。

詳しい解説は特設ページに記載しております。

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